採用決定率75%を実現した保育士採用ノウハウ集① 保育士採用市場の把握

採用

保育士採用に関して計画通り順調に進んでいますか?」という問いに対して、自信を持って首を縦に振ることができる採用担当者の方は非常に少ないと思います。

年々獲得競争が激化の一途を辿っている保育士採用市場において、現在面接実施からの採用決定率75%を実現し、2019年4月~2020年4月の2年間で合計33園の認可保育園を新規開設する原動力となった株式会社モード・プランニング・ジャパン雲母保育園採用グループ。

責任者である私がこの2年間の苦悩と試行錯誤を経て得てきた知見を一気に公開する「保育士採用ノウハウ集」の記念すべき第1回目の記事は、現状の保育士採用市場を把握するという内容です。

採用に関して頭を悩ませ、疲れ切ってしまっている担当者の皆さんも、まずは一緒に現状を把握することで、課題解決の糸口を手繰り寄せていくきっかけにしていただけると嬉しいです。

1.はじめに

「自社園の職員採用の進捗が遅く上手くいっていない」

「2018年4月に新規10園を開園する為の職員があと200名必要」

「このままでは行政が求める配置基準をクリアできず開園ができないリスクが高い」

「営業部門のメンバーで自社園の採用チームを立ち上げ、何としても新規開園を実現させて欲しい」

 

これまで、キララサポートの営業活動の全体を管理しつつ特に関東エリアの保育事業者様に保育士を紹介・派遣する保育チームを率いていた私に上記のような経緯で「自社園採用」という今までの業務とは真逆のミッションが下りてきたのは2017年の9月のことでした。

その時点で、2018年3月末日までのリードタイムは7か月足らず。

当時、保育園の職員採用の経験はゼロの素人だった私にも、7か月で200名の採用を行っていくことの困難さは充分理解できていました。

そのような中で、結果として当社は2018年4月の新規10園開園、2019年4月の新規17園開園を実現出来ました。2020年4月には更に新規16園開園を達成することが出来ました。

特にこの2年間の新規開園数に関しては、東証1部上場企業の同業他社様を始め並み居る大手事業者の新規開園数と比較しても業界トップクラスの水準であり、当社のようなブランド力もない中小事業者にとってみると身の丈に合ってない採用数を実現出来ていると言えます。

チームメンバーも、「私たちは業界トップクラスの採用力があるチームです!」と全員が誇れるようなムードの下で日々の採用業務を行ってくれており、まだまだ発展途上ではありますがとても良いチームビルディングが出来てきていることが実感できています。

<雲母保育園採用グループメンバー>

 

この2年間の間取り組んできた様々な打ち手を全て解説すると相当なボリュームになってしまいますので、今回のノウハウ集に関しては、採用決定率を上げることをテーマにしていきたいと思います。

同業他社の採用担当者の皆さんになぜ自社の採用ノウハウという企業秘密を共有するのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、前提として私は今の保育業界の採用市場に危機感を持っています。

毎日採用面接に飛び回り、雑務に振り回され、時には何のために保育業界に身を置いているのかを見失ってしまっていたり、何のために採用活動を行っているのかが良く分からなくなったり、すり減った精神状態で自宅と会社を往復する毎日・・・

そんな採用担当の方もいらっしゃると思います。私自身も同じように様々な苦労をしてきました。

保育士の採用市場をもっと明るく、良くすることができれば、結果的に今の保育業界全体が抱えている閉塞感を払しょくでき、自社も含めた業界全体の成長につながると私は思っています。

また、現在様々な業界でオープンイノベーションを始めとした、企業の垣根を超えた革新的な取り組みも行われていることから、保育業界においてももっと事業者間の垣根を超えた業務の効率化や改革を進めていく必要性も個人的に強く感じていることから、まずは自分が従事している「採用」分野での情報共有を行っていきたい次第ですので、是非ご参考いただけると幸いです。

2.現状を把握する(主導権は相手にある)

資本主義経済の世の中には様々な市場が存在していますが、需要・供給のニーズが強いか?によって、「売り手市場(需要ニーズが強い)」か「買い手市場(供給ニーズ)」に分類ができます。

それでは、現在の保育士採用市場はどちらに分類できるでしょうか? 言うまでもなく、完全な「売り手市場(求人ニーズが強い)」です。 つまり主導権・選択権は求職者側にあります

 

・保育士の有効求人倍率について

2018年11月時点の保育士の有効求人倍率は3.20倍(全国トップは東京の6.44倍)となっており、全業種平均の1.69倍と比較しても大幅に高い状態となっています。

 

特に、東京都をはじめとした関東一都三県の都市圏は更に保育士の確保が難しい状況となっており、東京都心のハローワークでの有効求人倍率が一時的に66倍にまで跳ね上がったという2016年の報道は採用担当者の皆さまであれば記憶に新しいと思います。

都市圏の保育士不足の主な要因は、待機児童問題解消の為の受け皿である保育士施設の新規開園ラッシュが続いてきたことから、保育の担い手である保育士の必要数が増えたことによるものです。

上記の数値と背景から考えても、保育士採用における主導権は、売り手側である保育士が握っているということが事実として断言できます。

・保育事業が買い手市場であるが故の意識のねじれ

前項でも述べたとおり、保育士採用が売り手市場であるということは、保育事業者の採用に従事されている方々であればどなたでもご存知の事実かと思いますが、事業者全体が心の芯からそのような認識が出来ているかというと、保育業界が抱える構造的な特徴から必ずしもそうは言い切れないと私は考えています。

保育事業をサービス業と位置づけた場合、顧客である保護者との関係性は待機児童問題が解消できていない都市圏を中心にまだまだ「買い手市場」寄りであると言えるからです。

※参考数値 厚生労働省発表の全国の待機児童数は2019年4月1日時点で16,772人(東京都で3,690人)

インターネットが普及し、製品開発力やロジスティクスが発達した結果、モノ余りが起きている現代社会で、金銭が発生するサービスにおいて、買い手市場の業界はほとんど存在しません。保育業界はビジネスという面だけでとらえても非常に特殊な業界だと思います。

しかも、待機児童問題は今に始まったことではなく都市圏では数十年単位で継続的にこの状態ですから、

保育事業者は心のどこかで「園さえ運営・開園すれば子どもは何の努力もしなくても集まる=園の収益は確保できる」と思っている可能性があると言えます。

よって、保育士の採用においても深層心理としては「待ち」の姿勢になってしまい、どうやったら保育士から選ばれる事業者になることが出来るのかどうやったら職員が定着して長く活躍が出来るのか?などといった職員の採用・定着に向けた打ち手が思いつかないような、硬直した状態になっていないでしょうか?

繰り返しますが、保育士採用市場においては主導権・選択権は事業者側ではなく「相手(保育士)」にあります。まず大前提として、我々事業者が上記のマインドセットを行うことがスタートラインだと思います。

 

3.まとめ

採用決定率75%を実現した保育士採用ノウハウ集」の第1弾として、今回は保育士採用市場の現状把握をテーマにしました。

保育士の有効求人倍率は全業種の平均値の約2倍の3.2倍となっており、中でも都市圏は東京の6.44倍を初め更に高い倍率となっていますので、完全な「売り手市場」であると言えます。

一方で、保育サービスのユーザー側である保護者に対しては、待機児童問題は長らく続いておりまだまだ完全に解消が出来ていないことから「買い手市場」寄りであると言えますので、この捻じれからくる「待ち」の姿勢の意識が深層心理として根付いている可能性が有ります。

採用活動においては、主導権は相手(保育士)が持っている現状をしっかりと把握した上で採用戦略を立てていくことが必要となってきますので、採用担当の皆さんは改めてマインドセットをしていきましょう!